世の中の大抵の事は大したことない

なまけものが書きます

残穢を読みました。

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※ネタバレありです!これから読もうと思っている方は読み終わった後にまたお会いしましょう。


映画にもなりました。『 残穢』です。
メガホンを取ったのは、ほん呪や心霊映像の

「お分かりいただけただろうか」

でお馴染みの中村義洋監督。当時それを知った時は大興奮で絶対観たい!と思ったのですが見られなかったので、今回その原作への期待はかなり大きかったです。


あらすじは……

あるホラー作家の『 私』の所に1通の手紙が届く。手紙には送り主であるライター『 久保』の自宅アパートの一室で現在進行形で起きている不可解な出来事が綴られていた。

彼女が寝室として使っている和室で畳を箒で掃くような、手でさっと撫でるような、奇妙な音がする。それは部屋の中を右から左、左から右へと一定のリズムで移動しているようだと。
そしてある日、音がして不意に振り向くと、長い布のようなものがサッと引っ込むのが見えたと言う。

ただそれだけの事だが、『 私』にはその話に聞き覚えがあった。以前、やはり読者から送られてきた体験談と酷似していたのだ。そしてその現象は一室に留まらず、同じアパートの別の階の部屋や、その近くの戸建てが並ぶ地域にも起こっていた。

一見なんの繋がりもないように見える別々の場所に起こる似通った不思議な現象。一体その原因はなんなのか。『 私』と『 久保』はその原因を探るべく調査を始める。するとそこには過去に遡り色々な不可思議な出来事や恐ろしい曰くがあった……。



物語の中程を過ぎても起きる事象は『 畳をする音』『 赤ちゃんの泣き声』『 床下から聞こえる蠢くような音とささやき声』くらい。それは同じアパートでも起こる場所と起こらない場所があって起こる場所同士にも関連性は見当たらない。更にそれと同じ事がアパートのすぐそばの一戸建ての集合する一角でも起きているとわかって、『 私』はその原因が土地そのものにあるんじゃないかと思いその歴史を調べていく。ドキュメンタリータッチのホラー小説。


仏門の考え方に『 穢れ(けがれ)』というのがあって、特に一番恐い穢れが『 死穢(しえ)』と呼ばれる、人が期せずして死ぬことによる穢れで、それはそれに触れる事で伝染して広がっていく。結局この一連の不可解な事象は『 死穢』によって生じた穢れが消えずに残った『 残穢』によるものではないかと結論付けられる。ただそれは仮定に過ぎず、大元となった『 祟り』のようなものにたどり着きはしたが決定的となる証拠は見つからず、全て『 ではないのか?』としか言いようがない事から、『 私』も『 久保』もそれ以上の調査を打ち切る事に決める。




ホラー小説と言うと『 リング』や『 呪怨』のように目に見える怨霊なんかに祟られて人が次々死んでいくみたいなあからさまな恐怖が多いけれど、このお話では明確にそれが『 祟り』のせいだと決定付けられていない。なんなら最後まではっきりとした原因は究明されず『 二人が調査を諦める』で終わっている。なので、『 呪怨』や『 リング』のようなホラーがお好きな方にはだいぶ物足りない作品だと思います。でも私は読んでいる間なんとも言えないじわじわとした怖さみたいなものを感じていました。

物語の大半がこの歴史を溯って曰くがないかを調べる作業なので人の名前がたっくさん出てきてアホな上に歴史が大嫌いな私はかなり頭がこんがらがりました。それでも私がこの物語をなんとなく怖いと感じたのは、それが私たちの周りにも起こり得る丁度よい怖さ(笑)だということと、主人公の『 私』の語り口調が淡々としているからではないかと思いました。

基本この『 私』はホラー小説家でありながら心霊現象に対して懐疑的であり常に冷静に考えを巡らせていて、根本的な考え方が『 全ての事柄を結びつけるのはいかがなもんか?偶然や思い込みということもあるのではないか?』と疑ってかかっているのです。そして更にこの本の作者は女性でありながら、文体が淡々としていて男の人っぽくて、それもまた怖さの理由になっているのかもしれません。解説でこの『 私』というのは作者の事ではないかと言っているのも頷けます。

ずっと読みたいと思っていた小説。想像していたのとはだいぶ違っていたけれど、ほん呪の監督も務めた中村監督ならきっと映画もいい感じに不気味な仕上がりになっているのではないかとますます観たくなりました。

ちなみに……この映画の宣伝用の映像が、もろにほん呪調で、映画の内容に関係がない所で覚えのない人物が映ってしまったとか言って監督自身が語るというドキュメンタリータッチの仕上がり。我が家ではそれを見て

「中村~、やりやがったな笑笑」

とみんなで笑ってました。その映像のURLを貼っておきますので興味のある方はご覧ください。↓↓↓




https://youtu.be/WtiXAEpoWi8


モロほん呪!岩澤、菊池コンビ懐かしい~!!

という事で長くなりましたが『 残穢』私はとてもおもしろいと思いました。ホラーが苦手な方にもオススメ!

ではまた!See you next Book report!