世の中の大抵の事は大したことない

なまけものが書きます

君の膵臓は食べたくない。だってホルモン苦手なんだもん。

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『君の膵臓をたべたい』を読みました。

最近こういう系のタイトルって多いじゃないですか。こないだの『打ち上げ花火』もそうですが、他にも『僕は明日、昨日のきみとデートする』とか『ちょっと今から仕事やめてくる』とか『兄に愛されすぎて困ってます』とかとか。

なので映画の予告でこのタイトルを見たとき、正直またかよ~って思ったんですよね。はいはいって。

ところが!本を読み出したらこれがなかなかおもしろくて、会話が多いのもあってどんどん読めちゃってすごく感動もしました。

以下、本編の内容にも触れますのでご注意くださいm(__)m



内容は余命宣告を受けた女子高生が、偶然それを知ってしまった同じクラスの目立たない、存在感のうっすーい男子と残された時間を共に過ごすと言うお話。

まぁよくあると言えばよくある話なんだけど、私はこの作者の文体がいいなぁと思いました。描写の仕方が独特なのですがとてもわかりやすく頭の中で映像にしやすいので話に入りやすくどんどん先に進めました。

『余命を告げたらみんなに特別扱いをされてしまう。残りの時間はいつもと変わらずいつも以上にやりたいことをたくさんやって楽しく終わりたい。』っていう彼女の気持ちはとてもよくわかる。私も余命を告げられたらそう思うかもしれない。でも彼女みたいに明るく過ごせるだろうか?

家族には八つ当たりをして嫌な思いをさせてしまうかもしれないし、誰かに聞いてもらいたくなるかもしれない。そんな『誰か』にこの男子高校生はうってつけだった。

ずっと男の子目線で話が進んでいくので彼女の本当の気持ちがわからなくて、一緒にイライラしたりウジウジしたりしてしまいました。天真爛漫すぎる彼女に最初はイラッとしたけど男の子と同じように彼女にハマっていって……。彼女の言動は最初から最後まで変わらなかった。 最後の瞬間まで『秘密を知る仲の良い友達。』それが彼女の死後一気に彼女の本当の気持ちを知ることになります。

その展開のもって行き方がとても良かったです。
彼が溜め込んでいた感情を抑え切れず爆発させるところではもう号泣してしまいました(笑)
実はこのお話はちょっと意外な展開がありまして……

結局人は必ず死ぬ。死は誰にでも平等に訪れる。
余命宣告を受けた彼女よりも自分の方が先に死んでしまうかもしれない。そう思うとあと余命一年の彼女は特別ではないと彼は思う。なるほどなと思いました。

事ある毎に『私とあなたは正反対』としつこく言っていたのは最後のあの一言への布石だったのか。
なるほど。気になるでしょ~(笑)



『言葉は往々にして発信した方ではなく、受信した方の感受性に意味の全てがゆだねられている』

これはほんとにその通りだと強く感じる体験を何度もしている私には心にピリピリくる文章でした。


この本、映画を観てえらく感動したのび太が買ってきた本で、ある日読書中の彼を覗いたら「ヤバいヤバい」と言いながら泣いていたという笑笑「とにかく読んで。」と言われて読んだらまんまと号泣してしまいました。読んでよかったなと思える本でした。


しかしイマドキの高校生ってよくわかんないですけどあんな会話するんですかね?実際に聞いたらこっぱずかしくなるような言い回しばかりで、思わず「生徒諸君か!!」と突っ込みたくなりました。古すぎてわかんないっすかね(笑)

さて、次は冒頭に出てきた『僕は明日、昨日のきみとデートする』を読もうかな♪