世の中の大抵の事は大したことない

なまけものが書きます

アホのピーちゃん🎵

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インコが好きです。インコが大好きです。
しかもこのカラーリングのインコが大好きなんですっ!
このカラーリングのインコは掛け合わせで作られたインコなのでアホだ。と聞いたことがあります。
かなり昔になんとなく聞いたことがある。程度の情報なので定かではありません。

でもその情報、あながち嘘ではないぞ?と思える根拠が私にはあります。それは私が高校生の頃飼っていたピーちゃんの存在です。

私の実家では幼い頃からずっとインコを飼っていました。昔はペットショップで生まれたてのヒナがなかなかリーズナブルなお値段で売られておりまして、親が鳥好きで買ってきて育てていました。
時にはつがいで買ってきて、卵からヒナが孵って大家族!なんて事もありました。

大体歴代名前は、オスは『ぴーすけ』メスは『ピーちゃん』か『ピーコ』という、なんとも単純だけど名付けには悩まない大雑把なシステムにより決定されていました。

そんなインコ一家において、最も思い出深いインコが、私が高校生の時に飼っていた何代目かの『ピーちゃん』でした。

ピーちゃんは全体が水色、頭が黄色のチャーミングなカラーリングで、家族の中で一番私になついていました。
インコと言えばおしゃべりも上手ですが、この子がなかなかのアホでして、話せる言葉と言えば「ピーちゃん」だけでした。

でもそのたった一言の渾身の「ピーちゃん」にも色々とバリエーションがありまして、普通の「ピーちゃん」の他に「ぴー⤴ちゃーん⤵」の『上げ下げVr.』 や、私の「ぴー」のあとに「ちゃん!」と続ける『二人で一人Vr.』 、かごの中のぴーちゃんに外から「ぴー!」と呼び掛けると「ちゃん!!」と叫びながら全力でかごの内側からアタックしてくる『やったっぞ💢Vr. 』など、様々。

特に最後の『やったっぞ💢Vr. 』は、当時大好きだった長渕剛の『Time Gose Around 』の中の『ピピ、ピーピピー、』って歌詞をかごの前で歌うと、急にソワソワと止まり木を左右に移動し始め、突然「ちゃんっっっ!」と叫んで攻撃をしかけてくる、ピーちゃんの一番の得意技でした。もうその様子がアホすぎて大好きだったなぁ。

外に出すといつも私の肩に止まってほっぺをつっついてきたり、耳をくすぐってきたり。
人差し指に止まらせてお腹をちょんちょんと刺激するともう一方の人差し指にピョンっと渡ってきます。それを何度やっても渡ってくるので、だんだんとスピードアップして高速指渡りにしたのち、突然距離を離して落っことすという意地悪をしても、またすぐよじ登ってくる。ほんとにほんとにかわいいやつでした。

そんなピーちゃんですが、いつの間にか少しずつ大人の階段を登っていました。その当時はつがいにせず、ピーちゃん一匹だけ飼っていたのですが、メスのインコってお年頃になると相手がいなくてもお腹の中に卵ができてしまうんです。もちろん無精卵ですから孵ることはありません。なので卵を産んだら取り出してあげないといつまでも抱えてしまうのです。ピーちゃんも例にもれず卵を作っては産むようになりました。

そんなことを何度か繰り返したある年の冬。
またピーちゃんのお腹が大きくなりました。
いつもこと。そう思っていたのに、その時は『いつものこと』じゃなかったんです。
なかなか卵を産まない。いつまでもお腹が大きいまま。いつ卵を産み終わって、また遊べるんだろう。待ってるのに。

そのうち、かごの中に設置された巣穴に籠ったきり出てこなくなりました。覗くとなんだか苦しそうです。いつもと違うその様子に心配になって、動物病院に連れていくと……それは『卵詰まり』である。と告げられました。

『卵詰まり』と言うのは、卵の形成不全や親鳥の体調によって産卵がうまくいかず、卵菅に卵が詰まってしまう症状だそう。
元々インコは南国の鳥で、寒さにはめっぽう弱い。
冬の時期だったので寒さによって体調が悪くなり、卵詰まりを起こしたようでした。

対処法はとにかく暖かくして自然に卵が出てくるのを待つしかないそう。
ピーちゃんを急遽我が家のお風呂場に連れて行き、ストーブをガンガン炊いて即席南国状態にして卵が自然に出てくるのを待つことになりました。



翌日の朝方。忘れられない朝。


寒い朝でした。
早朝、前の日から泊まりに来ていたばあちゃんに起こされ飛び起きた私の耳に入った言葉。

「ピーちゃんが……」

私は飛び起き、お風呂場に走りました。
そこで見た信じたくない現実。

ストーブによって作られた南国に置かれたかごの中でピーちゃんが横たわっていました。
目を瞑り、足をのばして。

私はすぐさまピーちゃんを抱えました。うそだ!
ピーちゃんのお腹の中で卵がぐちゃぐちゃに割れていました。

次に私は驚くべき言葉を耳にしました。
絶望する私のそばでばあちゃんが言った言葉。

「おばあちゃんね、心配になって様子を見に来たんだよ。そしたらピーちゃんが『ぴーーっ!』って言って飛び跳ねて落っこったきり動かなくなったんだよ。」………………………………………………はいっ?

ば、ばあちゃん……マジか??
それって……おいおい、マジですか??

ピーちゃんとの突然の悲しい別れ。
楽しい思い出が頭の中をぐるぐると。
涙が止まらなくて。

でもね、誰もばあちゃんを責められなかったよ。
これはピーちゃんの運命だったのかな。
いっぱい思い出ありがとう。大好きだったよ。



それからしばらく、10年以上もの間、私の夢の中に時々ピーちゃんは出てきました。
いつもと変わらず。アホなまんまでした。
私がなにか辛いことがあると、ピーちゃんは夢に出てきてくれた様な気がします。
だからずっと、私の守護霊はピーちゃんだって信じてました。ちょっとアホで頼りないけどね。


ここ数年はすっかりピーちゃんの夢を見なくなりました。寂しいな。思い出しちゃった。
たまには夢の中に出てきて、『やったっぞ💢』アタックを仕掛けてきてほしいって本気で願うのです。